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◆コラム1:チラシブームを懐古する

1974〜75年頃から始まったと言われるチラシブーム。
しかし、まだその頃は自分の周りではチラシ収集しているヤツはいなかった。
74〜75年と言えば、ブルース・リーブームだったし、76〜77年はスーパーカーブームだった。

自分もブルース・リーグッズ(1枚10円のカード等)を集めたり、スーパーカー消しゴムを集めたりしていたが(こう思い出すと、昔から収集癖はあったようだ)78年の夏休み頃、学校のクラスメートから1枚のチラシをもらった。
コレクション第1号となったそのチラシは「さらば宇宙戦艦ヤマト」だった。

当時は、映画自体にそれほど興味があったわけではなかったが、スーパーカーブームに踊らされていた少年の私は「激走!5000キロ」やら「ポール・ポジション」といった映画は見ていた。
そんな背景もあり、クルマがデザインされたチラシを友人にねだるようになっていった。
(当時はクルマ映画、あるいはスーパーカーをデザインした作品が多かった)
コレクション第1号!
スーパーカーブームに乗った(?)チラシたち
その後、買い直した「バイキング」


さて、この頃の映画界は、けっこう活気付いていた感じだ。
「スター・ウォーズ」「未知との遭遇」「サタデーナイト・フィーバー」等の話題作が続々公開され、自分のコレクションにも、こういった一般作が増えて行ったのだ。こうなるともう止まらない。
友達からもらうばかりだったチラシを自ら映画館に取りにいくようになり、それでも入手できないものは買うようになっていった。

「買う」というと、当時普通のデパートで頻繁に行われていた即売会を利用したものだ。
(そんな即売会がデパートで催されている事がブームだった事を物語る)
そのイベントでは、通常チラシはファイルに入れて売られており、ちょっと高めの旧作チラシは壁に展示されているというオーソドックスな形式だった。

ある日、壁に「バイキング」のリバイバルチラシ(B5横のカラー)を発見した私は、思い切ってそれを購入する事にした。とても安かったからだ。(幾らだったか、既に記憶は無いが..)
恐らくバイトであろう売り場のお兄さんから「バイキング」を受け取った私はすかさず現物を確認したのだが、
何だか紙質が厚く、更に縁は鋏で切ったようにギザついている
ではないか!!
まだまだチラシ素人であった少年もさすがに「おかしい」と思い、お兄さんに文句を言ったらあっさりと返金されたものだ。
後にそれは「映画チラシ大全集」(講談社発行)からの切り抜きと分かったのだが、こんな胡散臭い商売が堂々と行われていたのもブームならではである。


そんな即売イベントに、必ず見られた風景がある。「チラシ売り小僧」だ。
彼らはイベントに訪れる小中学生を見ると「チラシ買わない?」と声をかけてくるのだ。
だいたい1枚20〜30円といった値段で売るために、たくさんのファイルを持って網を張ってるのだが、安価であった事と、いちおうちゃんとしたチラシだった事もあり、自分も何度か買った事もある。
そんな「お客さん」がいる事に味を占めた小僧どもは、映画館のチラシをごっそりと奪うようになっていくのであった。
おかげで、純粋に自分の分だけを取ろうとしているガキであっても「持っていくなよ、ゴルァ」というオーラを発する劇場側の従業員の迫力に負けて肩身が狭くなっていくのであった。。。
「ドカ取り」もこの頃から発生して受け継がれていった裏文化なのであろう。

しかし、数年経過すると、クラスでも収集している者はいなくなり、いつしか自分だけになっていたが、現在でも割と年代の近い人(仕事関係だったり、チラシとは全く関係ない友人)から「俺も昔は集めてたなぁ」という話を聞く事も珍しくない。
残念ながら現在ではブツは既に処分してしまって持ってないのがほとんどだが、社会人になる前にバイトしてた店の店長が「まだ持ってるよ。ちょうど引越しするので捨てようとしてたんだけど、欲しいならあげるよ」と言ってくれた事があったのだ!
ファイル2冊分くらいしか無かったが、その中には「女王陛下の007」やら「4匹の蝿」やら結構なプレミアのチラシが入ってて、何ともビックリだったものだ。(店長、ありがとう!)

既にあのブームから四半世紀以上が経過し、当時のコレクターもすっかりオジサンになってるであろう(オレの事かい!?)
当時集めたまま、どこかに仕舞い込んでいる人がいないかどうか、ちょっと気になる今日この頃だ。
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